発言集団「きづな」

10/24/2014

大切な皇室への祈り 「発言集団」代表・中島英迪

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§、不謹慎な提言

 宗教学者の山折哲雄氏が『新潮45』3月号に「皇太子殿下、ご退位なさいませ』を発表して波紋を広げてゐる。
精神的不調が続く妃殿下を庇つて憂愁の度を深める皇太子に対して、妃殿下の健康回復のためには秋篠宮への譲位宣言をして、静かな環境の京都に居を移すのが最良の策だとの内容である。
 皇室の将来のためにも、「皇太子さまは、第二の人生を選ばれてもいい時期ではないだろうか」とのご退位のすゝめであり、一読して皇室のため、また両殿下のためを想ふ山折氏の善意が滲み出た提言であることは疑ひがない。両殿下の苦悩、両殿下の憂ひのお気持を拝察して山折論文に共鳴共感する国民も少なからず存在すると思はれる。
 しかし、たとへ編集者からの強い要請があつたにせよ、そこまで大胆に提言したからには、山折氏の執筆の動機がどの辺にあるのかが強く疑はれるだらう。つまり常識的に考へて、皇太子御自身に「精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故がある」場合にのみ皇位継承順位の変更が認められる、と『皇室典範』は規定してゐるのであり、妃殿下のご体調回復の為の退位などは全くこれに該当しないから、山折提言の実現性がゼロであることは明々白々だからである。
 そのことが分かつていて敢へて自説を発表したいといふことは、皇室の現状を憂へる国民世論に訴へて、その盛り上がりによつて現状を改変しようとの意図があつたに違ひない。だがこの提言にたとひ多数の国民が賛成して、国会や内閣などの政界、マスコミ界、学界などを動かしたと仮定しても、それとは逆に、一国民の分際で皇室の将来を変革しようとするのは不謹慎だとして、提言に猛反撥する国民の数もそれに劣らず多くなることは、山折氏ほどの人に読めない筈はないだらう。そしてその結果が、皇位継承論と同じく、国民の良識派を二分する激しい争ひになるだらうことは容易に想像がつく。そして結局は皇太子殿下・妃殿下のみならず、天皇・皇后両陛下の御心を悩ますことになる。
 山折氏が本気で皇室の安寧を願つてゐるのなら、その様な大混乱を避けるために、宮内庁を通じてソツと皇太子殿下にご忠言されるべきであつた。これまでも八木秀次氏や西尾幹二氏が雑誌や書物を通して、皇太子の離婚を勧める言説を発表してきたが、それと同様、不可能な事あり得ない事を公言するのは自己顕示の為か、それとも皇室の“重み”に無理解で、国民の多数の意思を結集した運動によつて皇室のあり方を変更できるとの思ひ上りに由来するのではないか?いづれにしろ皇室の尊厳を軽視する「日本国憲法」の精神に毒されてゐると言はねばなるまい。

 §、必要な国民の熱誠

 西尾幹二氏は近年、皇室のあり様に対する良識派国民の態度には二通りあることを指摘してゐる。「皇室観については、現在も二軸の揺れがあります。ひたすら皇室を仰ぎ奉つてさへいればよいといふ思想と、我々ももう少し能動的に皇室について言ふべきことを言はなければならないといふ思想の二つです」(「国体と文明」拓殖大学平成二十三年度公開講座)。換言すれば、一つは皇室の現状をそのまゝ肯定する態度、もう一つは皇室によかれかしとの思ひで提言する姿勢である。そして無論、山折、八木、西尾氏らは後者に属する人々だといふことになる。次期天皇を皇太子ではなく秋篠宮にといふ運動で署名活動まで行なふ人がゐると仄聞するが、それも同類といふことになる。
 この二つの皇室観の中、前者について西尾氏は「仰ぎ奉つてさへゐればよいといふ思想」と低く見て侮つた表現をしているが、それは天皇を現人神として仰ぎ奉つた戦前の例を頭に浮かべてゐるのであらうが、戦後世代の日本人、つまり七十歳以下の人々でさういふ認識をする人は現在稀であらう。そもそも戦後の教育で「現人神」といふ感覚は全く教へられてゐない。
 たゞ、ごく少数ではあるが、皇室の現状を肯定する人々の中にも、真に見る眼を持つ人は単に現人神として仰ぎ奉るだけではなく、天皇の背後で働き給ふ神、つまり天照大神を礼拝し、そのことによつて天皇を中心とする皇族方の弥栄、安寧、健康、幸福が実現するやうに祈願してゐる。このやうな人々は、各神社の神職だけに留まらず、一般国民の中にもわづかながら存在するのではないか?
 そしてこの天照大神への信仰と皇室への祈りがなければ、天皇を中心として国民が団結してきた日本の国柄は崩壊の道をたどるほかないだらう。
 国民のこの祈りの力が結集されゝば、天皇を初め皇族方の力量が益々発揮されることは、精神科学、心の創化作用に明かるい人なら容易に了解するだらう。皇室の現状への冷たい批判ではなく、あたゝかい熱望・誠意こそが好ましい姿を顕現させる原動力になるのである。
(「きづな」平成25年4月号より)

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