発言集団「きづな」

10/24/2014

天皇陛下の傘寿を言祝ぎ奉る 「発言集団」代表・中島英迪

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 平成25年12月23日、天皇陛下は満年齢で傘寿をお迎へになつた。昭和8年といふ国際社会激動の時代に誕生され、昭和20年わが国未曾有の敗戦で「大日本帝国」が崩壊した折には12歳。アメリカ軍占領により日本が変質させられた後、昭和27年4月に主権を回復した時には、多感な年齢の19歳であられた。
 昭和26年の被占領時代に18歳の立太子式をされ、正田美智子様とのご結婚が25歳の昭和33年。そして昭和64年、先帝・昭和天皇を継承して第125代天皇として即位されたのは、御歳56歳。戦前・戦中期、被占領期、そして独立期、と全く様相の異なる時代を、皇太子として、天皇として尽力頂いたご苦労は拝察するに余りある多大なものである。
 しかも、これらの時代を通じて、陛下は終始一貫、ご誠実なまごころを持ち続けてこられた。そのご人格の輝きは、日本国民だけでなく諸外国の指導者や要人に投げかけられ、一点の曇りもない「おほみごころ」は、まさに人間の域を超えた崇高といふ言葉にふさはしい。

 いま、公表された御製を拝読することによつて、その大御心の一端を確認させて頂きたい。
 まづ、地震など自然災害の被災者の苦難を慮るおほみうた。
・人々の年月かけて作り来しなりはひの地に灰厚く積む (57歳、雲仙岳噴火)
・なゐをのがれ戸外に過す人々に雨降るさまを見るは悲しき (61歳、阪神・淡路大震災)
・土石流のまが痛ましき遺体捜査凍てつく川に今日も続けり (62歳、長野県土石流災害)
・激しかりし集中豪雨を受けし地の人らはいかに冬過ごすらむ (64歳、集中豪雨の被災者)
・六年を経てたづねゆく災害の島みどりして近づききたる (65歳、奥尻島)
・幾すじも崩落のあと白く見ゆはげしき地震の禍うけし島 (67歳、新島・神津島訪問)
・地震により谷間の棚田荒れにしを痛みつつ見る山古志の里 (70歳、新潟県中越地震被災地)
・ガス噴出未だ続くもこの島に戻りし人ら喜び語る (72歳、三宅島訪問)
・災害に行方不明者の増しゆくを心痛みつつ北秋田に聞く (74歳、岩手・宮城内陸地震)
・津波来し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる (79歳、東日本大震災)

そして大東亜戦争の戦没者とその遺族に向けて―
・戦いに散りにし人に残されしうからの耐へしながとせ思ふ (58歳、日本遺族会創立45周年)
・精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき (60歳、硫黄島)
・開拓につくしし人ら訪ひ来れば雲を頂く浅間山見ゆ (69歳、軽井沢町の大日向開拓地)
・あまたなる命の失せし崖の下海深くして青く澄みたり (71歳、サイパン島訪問)
・シベリアの凍てつく土地にとらはれし我が軍人もかく過しけむ (73歳、ラトビア占領博物館)
 ことに沖縄県民の苦悩に思ひを寄せてをられることは日本国民全員の注目に値する。
・激しかりし戦場の跡眺むれば平らけき海その果てに見ゆ (59歳、沖縄平和祈念堂前)
・弥勒世よ願て揃りたる人たと戦場の跡に松よ植ゑたん (60歳、沖縄県全国植樹祭)
・ふさかいゆる木草めぐる戦跡くり返し返し思ひかけて (42歳、摩文仁)
 後の二首は、八・八・八・六音の琉歌であり、陛下は独力で詠まれてゐる。昨年の歌会始でご発表になつた
・万座毛に昔をしのび巡り行けば彼方恩納岳さやにたちたり
も琉球王朝を偲んで行幸された折の御製である。

 また、陛下がご両親や恩師に思ひを馳せられた
・霊前にしばしの時を座り居れば耳に浮かびぬありし日の声 (32歳、小泉信三東宮参与弔問)
・ありし日のみ顔まぶたに浮かべつつ暗きあらきの宮にはべりぬ (55歳、殯宮祇候)
・あまたたび通ひし道をこの宵は亡き母君をたづねむと行く (66歳、香淳皇后みまかりまして)
 そしてわが国の歴史や先人への思ひも詠んでをられる。
・百年を祝ふ集ひに先達の功かへりみ彼の御世を思ふ (46歳、明治神宮鎮座60年祭)
・日の本の国の基を築かれしすめらみことの古思ふ (56歳、近江神宮50年祭)
・千歳越えあまたなる品守り来し人らしのびて校倉あふぐ (68歳、正倉院)
 さらに、天皇として最も大切な神祀りについて―
・ともしびの静かにもゆる神嘉殿琴はじきうたふ声ひくく響く (23歳)
・松明の火に照らされてすのこの上歩を進め行く古思ひて (36歳、新嘗祭)
・神殿へすのこの上をすすみ行く年の始の空白み初む (40歳)
・父君のにひなめまつりしのびつつ我がおほにへのまつり行なふ (56歳、大嘗祭)
 これらは平成5年伊勢神宮御遷宮に際して歌はれた
・白石を踏み進みゆくわが前に朝日に映えて新宮は立つ (59歳)
と共に、民族の理想を継承する絶唱と拝することができる。
 平成時代の私ども国民は、このやうな陛下を戴くことができ有難い限りである。天皇・皇后両陛下のさらなるご健勝と末長いお導きをお願ひし奉る。
(「きづな」平成26年3月号より)

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